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定年後 賃金75%減 高裁判決

定年後 賃金75%減は不法行為

正社員で働いていた女性が60歳定年後の再雇用契約を巡り、正社員を希望したにもかかわらずパート勤務で賃金の75%カットを提示され退職した元従業員の女性が、勤めていた食品会社に損害賠償を求めた訴訟で定年後の極端な労働条件悪化は、65歳までの継続雇用を義務付けた高年齢者雇用安定法の趣旨に反するとして、会社に慰謝料100万円を支払うよう命じた2審・福岡高裁判決が確定した。

福岡高裁は再雇用の際の労働条件について「定年の前後で継続性・連続性があることが原則」との解釈を示したうえで、収入が75%も減る労働条件の提示は「継続雇用制度の導入の趣旨に反し、違法性がある」と判断した。

平成16年改正高年齢者雇用安定法では、定年を定める場合には60歳を下回ることができないとされたうえ、定年を65歳未満と定める場合には以下のいずれかの措置を講じなければならないとされました(高年齢者雇用確保措置)。
① 当該定年の引上げ
② 希望者全員の継続雇用制度導入
③ 当該定年の定めの廃止

この継続雇用制度は1年契約の更新によるものや、短時間・隔日勤務などの雇用形態を含むとされ、賃金その他の処遇は労使の協議等に委ねられる。
つまり、定年後の再雇用は労使の同意のもと決定されるものであるが賃金水準について明確な法的な基準がありません。
本件は、正社員からパート勤務に職務内容が変更される。
職務内容や勤務時間などが減少するので75%の賃金減少には合理性も認められる。
しかし、「定年の前後で継続性・連続性があることが原則」という概念のが生まれ賃金75%減は違法とされました。

多くの企業においては、定年到達時点と同じ仕事をさせながら賃金の引下げをおこなう。これが企業の実情なのです。
繰り返しになるが賃金低下の限界は明確ではありません。
この基準の参考になるのが
高年齢雇用継続給付の支給要件にある「60 歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下」していること。
この視点からでは定年後の再雇用契約において「同じ職務内容でも25%減」までは社会通念上容認されるのではないでしょうか。

企業の定年前には、
①再雇用契約内容を労使で合意する
②就業規則に役職定年を規定
 ③一定年齢以降は昇給線をねかせる。
などがより肝要になると考える。