採用

  • 労働者を雇い人れる場合には、書面によって労働条件を明らかにしなければならないと聞いていますが、雇入れ前に採用内定を行う場合には、労働条件の明示は雇入れ後にすれば問題ないものと考えますが、いかがでしようか

    採用内定時に労働条件を明示しなければならない

    使用者が労働者に対し採用内定を通知した場合、採用内定通知後に労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていない限り、採用内定時に労働条件を明示しなければならないこととされていることから、これを踏まえて、労働条件を明示することが必要です。

    その際、雇入れ時における就労場所や従事すべき業務を特定して明示できないときは、就業場所や従事すべき業務として予定している範囲を示すことで差し支えありません。例えば、就労場所:〇〇商事株式会社本社、横浜支社又は名古屋支社、従事すべき業務:営業事務又は会計事務で差し支えありません。

    向田社会保険労務士事務所
  • 建設業で季節雇用者を使用していますが、当初6ケ月の期間で雇うとしていた場合に、仕事が予定より早く終わったとき期間を短縮することは可能ですか。また、契約時に期間短縮がある旨伝えておいてもよいものですか

    使用者の過失により生じた場合、使用者は労働者について生じた損害を賠償する必要があります。
    労基法第20条によれば、使用者が労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日以上前にその予告をするか、それに代えて30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。

    1度締結された期間の定めがある労働契約を使用者の都合で解約できるか否かについては、労基法には、いわゆる解雇権濫用法理(第18条の2)が規定されているほかには規定が設けられていませんので、その解釈はもっぱら民法にゆだねられています。

    民法第628条は「当事者が雇用の期間を定めたる時といえども、已む事を得ざる事由ある時は、各当事者は直ちに契約の解除を為すことを得る」と規定しています。「已む事を得ざる事由」に該当するか否かは、権利の濫用等の特別の事情がない限り、該当すると判断され、解雇は可能と解されています。

    しかし、期間の定めがある雇用契約をやむを得ない事由があつて解約する場合には「其事由が当事者の一方の過失に因りて生じたる時は、相手方に対して損害賠償の責に任ず」(民法第628条ただし書)とされています。

    質問の場合における解雇事由は、一般的には、使用者の過失により生じたものと解されますから、使用者は労働者について生じた損害を賠償する必要があります。
    この場合の賠償限度額は、得べかりし賃金相当額すなわち契約で定めた期間満了までの賃金相当額と考えられます。これは、契約時に期間短縮がある旨伝えておいても、同様です。

    なお、労基法第20条によれば、使用者が労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日以上前にその予告をするか、それに代えて30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないこととされており、これは民法第628条の規定に基づき雇用契約を解除しようとする場合についても、当然、適用になります。

    向田社会保険労務士事務所

労働時間

  • 社員にゲーム用ソフトウェアの創作を行っている者がいますが、これらの業務に従事している労働者に対して、裁量労働制を導入したいと考えているのですが、どのような点に留意したらよいでしようか

    業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる

    現在、裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つがあります。
    質問のゲーム用ソフトウェアの創作の業務は、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある専門業務型裁量労働制の業務とされています。専門業務型裁量労働制の導入に当たつては①対象業務
    ②業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
    ③労働時間の算定については労使協定によること
    ④みなし労働時間
    ⑤有効期間
    ⑥労働者の健康福祉を確保するための措置
    ⑦苦情の処理に関する措置
    ⑧⑥及び⑦の記録を協定の有効期間中及び期間満了後3年間保存することについて、締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

    なお、専門業務型裁量労働制の対象となる業務は、労基法施行規則第24条の2の2及び厚生労働省告示第354号により19の業務が対象となっています。

    向田社会保険労務士事務所
  • 営業社員に携帯電話を持たせ緊急時に連絡を取れるようにしている場合、事業場外のみなし労働時間制の適用は可能でしようか

    携帯電話の使用方法により判断する

    労基法第38条の2では、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合であって、労働時間を算定しがたい場合には、所定労働時間労働したものとみなすとしています。

    この事業場外のみなし労働時間制は、(1)労働時間の全部又は-部について事業場外で業務に従事する、(2)そのために使用者の具体的な指揮命令が及ばず、労働時間を算定することが困難である、の両方を満たす場合に適用されます。営業社員の業務が、(1)と(2)の両方を満たす場合には、事業場外のみなし労働時間制を適用することができます。(1)と(2)を満たしているか否かの判断基準について、以下に示すような場合には、事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいるとして、みなし労働時間制の適用はありません(昭63.1.1基発第1号)
    ①何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
    ②事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
    ③事業場において訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場に戻る場合。

    質問では、営業社員に携帯電話を持たせ、緊急時には連絡を取つているとのことですが、この場合、携帯電話の使用方法によっては前述の②に該当し、みなし労働時間制の適用はできないと考えられます。
    具体的には、例えば、携帯電話を使って使用者が随時外勤の営業社員に指示を与えながら業務を遂行している場合はみなし労働時間制の適用はできないと考えられます。一方、携帯電話を緊急時の連絡にしか使用していない場合には、使用者の具体的な指揮命令が及んでいないと考えられ、みなし労働時間制が適用できることになります。

    向田社会保険労務士事務所
  • 地域社会への奉仕を目的に最寄り駅周辺の清掃を、始業前30分間行っていますが、このようなボランティア活動の時間についても、労働時間としてカウントしなけれぱならないのでしようか

    使用者の指揮命令に基づいて行われているかを判断する

    本来の業務とは関係なく、職務遂行上必要な作業でもない作業に要した時間は、一般的には労働時間ではないと考えられがちですが、このような場合であっても使用者の指揮命令に基づいて行われているものであれは労働時間となります。
    質問のケースで、奉仕活動として行う清掃が、例えば使用者の方でいくつかのグループに分けて、そのグループごとに交替で行うような場合、その奉仕活動への参加が強制されているものと考えられます。このような場合は労働時間としてカウントしなければなりませんが、地域社会への奉仕活動が労働者個人のボランティア活動として、自発的に行われているもので、なおかつ、参加も自由とされているような場合には、使用者の指揮命令に基づく労働とは考えられませんから、その活動に要する時間は労働時間とはみなされません。

    向田社会保険労務士事務所
  • 労働時間とはどういう時間か、具体的事例を踏まえ、教えてください。

    「労働時間」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにある時間であり、「休憩時間」とは、労働者が自由利用できる時間をいう。

    「労働時間」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにある時間をいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることは要件とされません。
    したがって、例えば、貨物取扱いの事業場において、貨物の荷扱係がトラックの到着を待っているいわゆる待機の時間帯や、トラックに運転手が2名乗り込み交替で運転に当たる場合に、実際に運転に従事せず助手席で休息又は仮眠している時間帯なども、いずれも労働時間と解されています(昭33.l0.11収第6286号)。この事例のような待機の時間を一般に「手待時間」と呼ぴ、「手待時間」が労基法第34条の「休憩時間」と違うのは、前者が使用者の指揮監督のもとにあるのに対し、後者が労働者はその時間の自由利用を保障されている点にあります。したがって、休憩時間とされている時間帯に来客当番をさせられていれば、実際に来客がなくとも、労働時間となります(昭23.4.7基収第1196号、昭63.3.14基発第150号・婦発第47号)。

    ここで、使用者の指揮監督下にあるか否かは、明示的なものであることは必要でなく、現実に作業に従事している時間のほかに、作業前に行う準備や作業後の後始末、掃除等が使用者の明示又は黙示の指揮命令下に行われている限り、それも労働時間となります。

    以下、労働時間か否か問題になることの多い事例を示します。

    (1) 教育、研修に参加する時間

    労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働時間とみるぺきか否かは、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的に支障が生ずるか否か等の観点から、実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断されます。

    「労働者が、使用者の実施する教育、研修に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いによる出席の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」(昭26.1.20基収第2875号)とする解釈例規があります。
    .また一定の資格を得ることが昇進等の条件となっているような場合に、使用者がこれらの資格の取得に資するために行う教育研修に参加することについても、これに参加することが強制されていない限り労働時間とはいえません(昭33.l0.l0基収第6358号)。

    (2) 安全衛生教育安全・衛生委員会の会議の時間

    .安全衛生教育の時間については、労働安全衛生法第59条及ぴ第60条の安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止を図るため、事業者の責任において実施されなければならないものであり、その実施に要する時間は労働時間と解されます(昭47.9.l8基発第602号)。
    労働安全衛生法第17条、第18条又は第19条に定める安全委員会、衛生委員会等会議の開催に要する時間は労働時間と解されています(昭47.9.18基発第602号)。これらの会議は、しばしば所定労働時間外に開催されることがあるが、当該会議が法定労働時間外に行われた場合には、時間外労働として取り扱わなければなりません(前掲解釈例規)。

    (3) 健康診断の受診時間

    これについては、一般健康診断の場合と特殊健康診断の場合とに分けて考えなければなりません。一般健康診断は、一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、義務遂行との関連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではありませんが、他方、特定の有害な業務に従事する労働者について行われる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、その実施に要する時間は労働時間と解されます(昭47.9.18基発第602号)。

    (4) 作業服への更衣・安全靴の着用等の時間

    作業服の着用と、社内の更衣室で着替えることの2点を義務付けた場合は、実作業に就いていない時間であっても「使用者の指揮命令下」にある時間として、労働時間となります。従って、着替えに要する時間も労働時間となり、始業時刻前はもちろん、終業時刻後の着替えに要する時間に対しても、賃金を支払わなければなりません。
    ただし、着替えに要する時間が労働時間に当たらない場合もあります。例えば、任意の服装による勤務を認め、希望者のみに制服を貸与している場合に、社外で制服を着用されると企業イメージが損なわれることなどから、社内に限り制服の着用を認め、着替えを社内の更衣室で行うこととしているケースなどが考えられます。
    こうした場合は、制服を着用することが義務付けられていない以上、着替えに要する時間が「使用者の指揮命令下」に置かれた時間とは認められず、労働時間とはならないと考えられます。

    向田社会保険労務士事務所

変形労働時間制

  • 1ヶ月単位の変形労働時間制を採用していますが、対象期間の中途で労働時間を変更できますか。できるとした場合、その清算方法を教えてください

    変形期間の途中で労働時間の変更はできない

    1ヶ月単位の変形労働時間制は、1ヶ月労働した後にこれを通算し、結果として、1週当たり40時間になっていればよいという制度ではありません。もし、そのような労働時間の事後通算を認めると、労働者は、ある特定の日又は特定の週に労働しな,.ければならない労働時間数が不明確となり、日常生活の設計ができないほか、1ケ月の法定労働時間の範囲内であれば、特定の日又は特定の週にいくら労働しても割増賃金が支払われないことになる可能性があるなど、労働者にとって不利益が著しいからです。

    要するに、1ヶ月単位の変形労働時間制をとる場合には、各日、各週について、労働時間を労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにおいて具体的に定めておかなければなりません(法第32条の2第1項)。したがって、変形期間の途中で労働時間を変更することは、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合の要件を欠くことになり、認められません。

    向田社会保険労務士事務所
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制を採用した場合に時間外労働となるのは、どの時間ですか

    時間外労働は「日」、「週」、「変形期間」を単位とする

    1ヶ月単位の変形労働時間制を採用した場合の時間外労働となる時間は、以下の①から③のいずれかに該当する時間です。
    ① 1日については、就業規則その他これに準ずるものにより、8時間以下の所定労働時間を設定していた日に8時間を超えて労働した時間、8時間を超える所定
    労働時間を設定していた日にその所定労働時間を超えて労働した時間
    ② 1週間については、就業規則その他これに準ずるものにより、40時間以下の所定労働時間を設定していた週に40時間を超えて労働した時間、40時間を超える所定労働時間を設定していた週にその所定労働時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く)
    ③ 変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①又は②で時間外労働となる時間を除く)

    向田社会保険労務士事務所
  • 1年単位の変形労働時間制を採用していますが、予期しない事情が生じ、やむを得ず休日の振替を行わなければならなくなった際に留意すべき点を教えて下さい

    1年単位の変形労働時間制の休日を確保する要件を満たすこと

    1年単位の変形労働時間制は、一定日数以上の休日を確保するため、対象期間及び特定期間における連続して労働させることができる日数の限度が定められています。
    したがって、休日の振替を行う場合は、
    ① 対象期間(特定期間を除く)において連続労働日数が6日以内となること
    ② 特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる範囲内であること
    等の要件を具備しなければなりません

    この場合において、ある休日を振り替えたために、その後の休日についても連鎖的に振り替えることは認められないこととなっています。また、対象期間で特に業務が繁忙な期間については、特定期間として定めることができますが、連続して労働させることができる日数には限度が定められていることから対象期間中に特定期間を変更することはできないこととなっていますので留意して下さい。

    向田社会保険労務士事務所

年次有給休暇

  • 年次有給休暇について、午前や午後に1~2時間単位で請求があった場合に、請求のあったとおりに与えることは可能でしようか

    時間単位の年休取得には労使協定が必要

    年次有給休暇の目的は、労働者に所定休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与えることによって、心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることにあるとされていますが、労基法第39条の条文では「労働日」とあり、労働日単位を表していることから、分割が認められる最低単位は1日と解されています。
    ただし、「年次有給休暇は労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務は無い」(昭24.7.7基収第1428号‐昭63.3.14基発第150号)とあり、「半日単位」での付与はできないとされていません。

    しかし、労使協定で以下の事項を定めることで、時間単位での年休制度を導入できる(労基法39条4項、労基法施行規則24条の4)。これにより従業員は、時間単位で時季指定をすることができる。

    ①時間単位年休の対象となる従業員の範囲
    ②時間単位で付与できる年休の日数(年間5日以内)
    ③時間単位で付与できる年休1日の時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数)
    ④時間単位年休の付与単位が1時間以外の場合、その時間数(1日の所定労働時間数未満)

    向田社会保険労務士事務所

     

     

     

     

     

  • 1ヶ月後に退職する労働者から、年次有給休暇の未消化分を一括請求されましたが、引継ぎなどもある場合であっても、未消化分すべてを付与しなければならないのでしようか

    時季変更権の行使は不可能ですので、請求された時季に年休を与える

    労基法第39条は、「使用者は前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」として、使用者に時季変更権の行使を認めているのですが、労働者が退職する際の残余の年休日数を一括請求した場合は変更すぺき他の日が無く、時季変更権を行使する余地はない(昭49.1.11 基収第5554号)とされています。

    したがって、時季変更権の行使は不可能ですので、請求された時季に年休を与えなければなりません。

    実務的な処理方法としては、労働者に事情を話されて退職日を先に延ばしてもらうか、本人の了解を得て一括請求された年休日数を減じてもらい、その分退職された時点での残日数に応じた手当の支払いとして処理される方法などが考えられます。
    .なお、年休の買い上げは原則認められていませんが、この場合のように残っている年休日数が消滅したような場合はその日数に応じて調整的に金銭を付与することは、事前の買い上げと異なるので、即労基法第39条違反となるものではありません。

    向田社会保険労務士事務所

賃金

割増賃金

  • 経費の節減、計算の簡便化による仕事の能率化を図るため、これまでの時間外・休日労働時間の実績を踏まえ、1人1ケ月30時間分とする一定額の割増賃金を支払うことは、労働基準法上何か問題がありますか

    支払われた割増賃金が、実際に行われた労働に対し労基法上支払うべき割増賃金額を上回る限り、違法とならない

    支払われた割増賃金が、実際に行われた労働に対し労基法上支払うべき割増賃金額を上回る限り、違法となるものではありません。従来の残業実績から計算した割増賃金を毎月定額で支払うこととしても、それが常に法定どおり計算した割増賃金額を上回る限り、法律上問題にはなりません

    しかし、労基法所定の計算方法による割増賃金額が、一定額を上回る金額となるにもかかわらず、一定額の打切りとすることは違法となり、その差額を支給しなければなりません。

    時間外・休日労働の多い月、少ない月があって、年間平均でみれば法所定の割増賃金額を上回っているからといって、それで済むというものではありません。割増賃金は、労基法第24条の毎月払の原則の適用を受けますので、他の月に残業がなくても一定額を支払っているからといって、残業の多い月に一定額の支払で済ますということはできません。

    向田社会保険労務士事務所
  • 当社は建設業であり、私は事務員ですが、現場の職員が戻ってくるまで事務所で待機しており、手待ち時間も労働時間であるとすれば残業時間数が相当増えることになりますが、その分の残業手当を会社が払わなければ労働基準法違反となるのでしょうか。また、役職手当を5万円ほどもらっていますが、これに時間外手当が含まれていると考えてもいいのでしようか

    労基法上の管理者かを判断し、その上で、割増賃金の支払が必要か判断する

    暗黙を含めて待機を指示されている場合には、使用者の指揮監督のもとにあり、また、自由な利用の保障がなければ手待ち時間であり労働時間となります。
    一方、労基法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は最低基準を定めたものであり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的な取扱いが認められるものではく、労働時間等の規制の枠を超えて労働させざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間の規制になじまないような立場にあり、経営者と一体的な立場にあるようなものに限って、管理監督者として労基法第41条による適用除外が認められ、その範囲はその限りに限定されるものであります。
    また、支払われている役職手当は、通常その職務に対して支払われるものであり、残業手当など性格の異なる手当てについては、本来別に考えなければなりません。

    したがって、上記管理監督者に該当しない場合には、役職手当のほかに別途時間外手当を支払う必要があります。
    なお、役職手当に残業手当が含まれているかについては、裁判例では「割増賃金に該当する部分が明確に区分され、かつ、これが全従業員に周知され、さらに、これによる支払いが労基法所定の計算方法により計算された割増賃金の額に比して、各従業員の不利益にならないことが客観的に明白」でない場合はその支払方法は違法として割増賃金全額の支払礒務があるとしたものがあり、役職手当に時間外手当が含まれている場合にも、残業手当と役職手当を明確にする必要があります。

    向田社会保険労務士事務所
  • 所定労働時間が午前8時~午後5時、昼休みが1時間ですが、その日は忙しく休憩時間が30分しか取れませんでした。休憩時間に働いた分について割増賃金を支払うこととしていますが問題はあるでしょうか

    法定の休憩時間数が与えられていないため労基法第34条に違反

    労基法第34条第1項では、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と規定されています。質問の場合、実際に休憩時間に働いた分について割増賃金を支払うので賃金の問題はありませんが、法定の休憩時間数が与えられていないため労基法第34条に違反したことになります。

    したがって、所定の休憩時間に止むを得ず労働させた場合においては、別途その日の労働時間内に法定に不足する休憩時間を与える必要があります。

    向田社会保険労務士事務所

就業規則

  • 賃金制度の一部を変更することになり、就業規則の変更届けを出すことになりました。しかし、この規則変更に対して労働組合が反対し、労働基準監督署に届け出る際の意見書の提出を拒否しています。このような場合、就業規則の変更は認められないのでしょうか。また、たとえ意見書が提出されたとしても、それが全面的に反対の意見書であった場合でも、認められるのでしょうか

    意見を聴いたことが客観的に証明、就業規則についての労働組合の意見を聴けば足りる

    故意に意見を表明しない場合や、あるいは意見書に署名押印しない場合でも、「意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取扱われたい」(昭23.5.11基発第735号、昭23.10.30基発第1575号)とされ、また、反対意見の効力については、『労働組合の意見を聴かなければならない』というのは労働組合との協議決定を要求するものではなく、当該就業規則についての労働組合の意見を聴けば労働基準法の違反とはならない趣旨である」(昭25.3.15基収第525号)との解釈がされており、いずれの場合であっても有効となります。

    同意を要件としていないのは、同意を必要とすれば結果的に労働協約の締結を強制することになるためです。ご質問の場合については、労基法第90条の規定には触れませんが、労働者の意見に対し十分な配慮と誠意が必要といえるでしょう。

    向田社会保険労務士事務所
  • 就業規則を変更した場合、変更条文も含めて就業規則全条文を労働基準監督署に届け出なければならないのでしようか

    改正条文の届け出で足りる

    労基法第89条では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。これを変更した場合においても同様である。」と規定し、その届出を義務付けています。

    しかし、法令では、一部改正した場合について全条文を届け出る旨の規定はありませんし、すでに全条文については届出がなされているのですから、改正条文の届け出で足りると考えるべきです。

    ですから
    ①改正前の条文
    ②改正後の条文
    ③労基法第90条で定めた意見書の3点を届け出ればよいわけです

    向田社会保険労務士事務所
  • 正社員80名のほかに主婦のパートを10名ほど雇っているのですが、パートの就業規則がない場合、一般の従業員の就業規則の規定が適用されるということですが、どういう理由からなのでしょうか。また、パートの就業規則を作成しようと考えていますが、労働基準監督署に届け出する際に添付する労働者の意見書については、この就業規則が適用されるパートの意見を聴くだけでよいのでしょうか

    パートタイム労働者だけの意見では法の要件に適合しない違法

    就業規則はその事業場で就労する「労働者」すべてに適用されるように作成しなければなりません。この場合、パートタイム労働者も含めて一律に就業規則が適用されるように定めても差支えありませんが、パートタイム労働者については、一般従業員と労働の内容、条件などが異なることから別に作成する企業も多くみられます。

    問題となるのは、一般従業員に適用される就業規則はあっても、パートタイム労働者に適用される就業規則の作成がない場合、労働条件の履行をめぐりトラブルが発生したとき、何をよりどころにこれを解決するかが現実の問題とされます。
    この点に関して裁判例の中には、適用する就業規則のない者の労働条件に関し、一般従業員の就業規則を準用することが最も合理的であるとしたものがみられます。

    ところで、労基法第90条では、「使用者は、就業規則の作成又は変更について、
    当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」としていますが、一般従業員と他の就労者用の二つの就業規則を作成した場合、労基法第89条にいう就業規則というのは、この二つを合わせたものです。

    つまり、質問の場合のパートタイム労働者の就業規則は、その事業場の就業規則の一部とみられるわけです。したがって、その作成については、労基法第90条の手続きに従って、過半数組合か過半数代表者の意見を聴かなければならず、パートタイム労働者だけの意見では法の要件に適合しない違法な措置となります。
    したがって、パートタイム労働者の就業規則の作成や変更についても、過半数の労働組合か労働者代表の意見を聴けば労働基準法上は足りますが、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平5.6.18法律第76号)第7条、事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針(平5.12.1 労働省告示第118号)では、これとは別にパートタイム労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くように努めることとされていますので、注意してください。

    向田社会保険労務士事務所
  • 就業規則の効力が発生するのは、会社で定めたときか、それとも労働基準監督署に届け出たときか、あるいは労働者代表の意見を聴いたときか、いつからなのでしようか

    労働者に周知させた時点以降ですが、施行期日の定めがないときは、その周知がなされたとき

    就業規則の制定、変更の際に労働基準監督署に届け出なけれぱならないことを労基法第89条で定めていますが、さらに労働者の団体的意見の聴取(労基法第90条)労働者への周知(労基法第106条)の二つを規定しています。これらの手続と関連して就業規則の効力発生時期はいつか、ということが問題となります。

    学説としては、なんらかの方法による周知を就業規則の効力要件と解するものが多数を占めています。
    判例として最高裁判所は、「周知の方法を欠いていたとしても、意見聴取がなされて労働基準監督署に届出られたものであるから、就業規則自体の効力を拒否する理由とはならない」(昭27.10.22最高裁大法廷判決、朝日新聞小倉支局事件)としています。
    もっとも、下級審では「何らかの方法による周知を就業規則の効力要件」とする裁判例も多く出ています。

    就業規則の法的性質を法規範説とするならば就業規則も一般の法令と同様に労働者に周知されてはじめて効力を生じると解するほうが妥当と言えるでしよう。

    したがって、就業規則の効力発生の時期は、就業規則がなんらかの方法によって労働者に周知きれた時期以後で就業規則が施行日と定めた日と言えます。
    単に会社で定めた時点でなく、労働者に周知させた時点以降ですが、施行期日の定めがないときは、その周知がなされたときに効力が発生すると解すべきです。

    向田社会保険労務士事務所

退職

  • 当社の社員が行先などを誰にも告げずに寮を出たま、ま戻らず、以来行方が分かりません。解雇として処理して構わないのか、その場合の留意点について知りたいと思います。また、就業規則では「無断欠勤が14日以上に及んだ場合解雇する」という条項がありますが、解雇ではなく依願退職とするのは問題があるのでしようか

    質問のケースが労働契約解約申し入れの黙示の意思表示と認められるものであれば依願退職として取り扱って差し支えない

    解雇として扱えるかということについては、就業規則に規定がありますので問題ないでしょう。ところで、問題なのは解雇すべき労働者が行方不明であるということです。

    解雇とは、使用者の意思表示による労働契約の解除ですから、「隔地者に対する意思表示は其通知の相手方に到達したる時より其効力を生ず」(民法第97条)とされているように、解雇の意思表示が当の相手方たる労働者に到達しなければ、労働契約解除の効果を生じないわけです。

    しかしながら、相手方である労働者が行方不明のような場合には、たとえ労働者の住所に配達されても、それによって本人の了知し得るべき状態に置かれたとみることは困難というべきです。したがって、このような場合は民法第97条の2に規定する「公示の方法」によって行うことになりますが、具体的方法としては裁判所の掲示場に掲示し、かつ掲示のあったことを官報及び新聞に最低1回は掲載することとされています。そして、最後に官報もしくは新聞に掲載した日から2週間経過したときに、意思表示は相手方に到達したとみなされることになります。

    しかし、依願退職として処理できるのであれば何も公示の方法をとる必要はなく、無断欠勤が続き、会社に何の連絡もしないまま姿を消すということが、労働者の黙示の労働契約の解約申し入れの意思表示ととれないのかということになります。というのも、意思表示は一定の方式を備えた明示の意思表示によらなけれぱ効力を生じないとされる要式行為を除けば、黙示の場合も同一の効果をもつとされているからです。

    したがって、質問のケースが労働契約解約申し入れの黙示の意思表示と認められるものであれば依願退職として取り扱って差し支えないということになります。

    ところで、個々のケースが労働者による黙示の意思表示と認められるかどうかについては、客観的事情をもとに総合的に判断しなければなりません。その労働者の過去の勤務状況、行方不明になったときの状況、その後の連絡の有無、連絡がとれなくなってからの期間などを考慮して、誰がみても自分から会社をやめるつもりで姿を隠したことが明らかであれぱ、依願退職として処理しても構わないことになるでしょう。

    向田社会保険労務士事務所
  • 当社の定年年齢は60歳となっているのですが、定年間際の社員が業務中に怪我をしてしまいました。定年は雇用契約の満了であり、解雇ではないと聞いているのですが、そうすると労働基準法上の解雇制限の適用もないと考えてよいのでしようか

    就業規則に規定している定年制の場合には、当然に労働契約関係が終了する

    労基法第19条は、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女子が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」と定め、一定の状態にある者の解雇を禁止しています。

    しかしながら、同条で禁止しているのは、使用者による一方的な労働契約の解約の意思表示である「解雇」であり、労働者側からする任意退職や労働契約に期間の定めがある場合の期間満了による労働契約の終了等、解雇以外の事由による労働契約の解消をも禁止しているわけではありません。

    したがって、労基法第19条の解雇制限の適用があるか否かは、当該労働契約の解消がいかなる事由に基づくものであるかによって判断されることになり、定年年齢到達をもって労働契約の自動的な終了事由として就業規則に規定している定年制の場合には、労働者が定められた年齢に到達することにより、当然に労働契約関係が終了することとなり、労基法第19条の問題は生じません。
    しかしながら、一応、定年年齢は定めてはいても、慣例としてその都度会社との話し合いによって定年年齢を延長していたり、あるいは嘱託として再雇用したりしている場合ですと、事情も異なってきます。

    向田社会保険労務士事務所
  • 当社の従業員が就業規則上の懲戒解雇に該当する不正行為を行いました。しかし、懲戒解雇の場合には退職金が不支給となるものの、これまでの本人の会社に対する貢献度なども考慮したうえで、退職願の提出を強く求めたところ、本人も納得して退職届を提出しました。しかし、会社の申し出はすでに本人に選択の余地がないとも思え、解雇の手続きを取らず、本人の意思による退職として取り扱っていいのか疑問です

    原則として、合意退職とみなされますので、原則として解雇の問題は生じません。

    結論から言えば、質問のケースは合意退職とみなされますので、原則として解雇の問題は生じません。しかし、退職願が出されてさえいれば合意退職が成立していると認められるかというと、必ずしもそうではありません。

    昭和45年4月14日横浜地裁判決の日本電気事件では、会社から強く退職願の提出を迫られた原告が、その意思がなかったもののその場を取りつくろうため退職願を出した件について、本人の自由意志によらないことから合意があったとはみなされないとしています。
    このほか民法第95条の錯誤があった場合の意思表示は無効とされていますし、同法第96条は詐欺や脅迫の状態のもとに行われた意思表示については後刻これを取り消し得ることを定めています。
    しかし、これらはいずれも合意退職の成立について言及しているのであって、本来、被解雇者の意思をまったく考慮しない解雇とは別個の問題といえます。

    したがって、質問の場合も合意退職が成立していないと認められる場合に、改めて解雇の措置に出られればよいのであって、会社からの申し入れがあったとはいえ、本人の自由意志による退職に関する合意があったとみられる以上、労基法第19条や第20条の問題が生じることは原則としてないといえます。

    向田社会保険労務士事務所

その他

  • 無断欠勤を続け、再三の出勤の督促にも応じない者がいるので30日分の解雇予告手当を支払い、即時解雇しようと考えていますが・解雇予告手当についても労働者本人に直接支払わなければならないのでしようか。また、解雇予告手当の受け取りを拒否した場合、どうすればいいのでしようか

    通貨で、直接労働者本人に支払う必要。解雇予告手当の受け取りを労働者に拒否された場合、労働者が受け取り得る状態に置かれていることを要す。

    即日解雇する場合には、行政解釈では、解雇の申し渡しと同時に解雇予告手当を支払わなければならないとされています(昭23.3.17 基発第64号)が、解雇予告手当は賃金には該当しないとされています(昭23.8.18 基収第2520号)

    したがって、解雇予告手当については労基法第24条による賃金の直接払い、通貨払いの原則は適用されません。ただし、前掲行政解釈では、解雇予告手当は賃金には該当しないが、その支払いについては、法第24条に準じて通貨で直接支払うよう指導すべきことが示されていますので、通貨で、直接労働者本人に支払う必要があるといえます。

    次に、解雇予告手当の受け取りを労働者に拒否された場合、どういう方法をとれば解雇通告日に解雇予告手当を支払ったとみなされるかですが、行政解釈において、労働者が受け取り得る状態に置かれていることを要し、具体的には次のようなことが必要であるとされています(昭63.3.14 基発第150号)。
    ①郵送などの手段により労働者あてに発送を行い、この解雇予告手当が労働者の生活の本拠地に到達したとき。なお、この場合、直接労働者本人が受領したか否か、また、労働者の存否には関係がない。
    ②労働者に解雇予告手当を支払う旨通知した場合については、その支払日を指定し、その日に本人不参のときはその指定日、また、支払日を指定しないで本人不参のときは労働者の通常出頭し得る日。なお、解雇の申し渡しをなすと同時に解雇予告手当を提供し当該労働者が解雇予告手当の受領を拒んだ場合は、これを法務局に供託できることはいうまでもない。

    以上のいずれかの手続きを行えば、解雇通知日に解雇予告手当を支払ったとみなされることになります。

    向田社会保険労務士事務所
  • 当社では、従業員の給料計算をコンピューターで管理していますが、経理の者がデータを間違えて入力したために給料に過不足が生じました。この給料の過不足について、次回の給料で清算しようと考えているのですが、問題はありませんか

    次回の給料で精算するのではなく、すぐに支払うことが必要

    労基法第24条は、賃金の支払いに関する原則を掲げています。その原則は賃金が毎月確実に労働者本人の手に渡るように定めたもので、
    ①通貨払い
    ②直接払い
    ③全額払い
    ④毎月払い
    ⑤一定期日払いの五つを指します

    質問のケースでは、この五原則のうち③の全額払いの原則に抵触する恐れがあります。なぜなら、全額払いの原則とは、労働者が受け取るべき賃金について、その全額を支払わなければならないというものだからです。

    したがって、計算ミスにより、不足して支払った先月分の賃金については、給料日の時点で既に全額払いの原則に違反していることになりますので、次回の給料で精算するのではなく、すぐに支払うことが必要です。一方、労使協定がないのに、払い過ぎた賃金を次回の給料から差し引いて支払う方法についても厳密に言えば、全額払いの原則に違反しているといえます。

    また、同条第1項ただし書きでは、全額払いの原則の例外として、法令に別段の定めがある場合又は賃金控除に関する労使協定がある場合に限り、賃金の一部を控除して支払うことができるとされています。したがって、賃金控除に関する協定を結んでおけば、払い過ぎた賃金を後になって差し引くことも問題ありません。

    では、労使協定がなければ、過払い賃金を翌月の賃金で相殺出来ないかというとそうともいえません。通達では、前の月に払い過ぎた分を翌月に差し引いて精算する程度(5日分)は、労働者の生活を害する恐れはないと考えられることから、賃金計算上の取り扱いとして、労使協定が無くても労基法違反にはならない(昭23.9.14 基発第1357号)としているからです。

    向田社会保険労務士事務所
  • 本人からの申し出により依願退職した労働者がいますが、本人が辞めてから在職中の不正事実がいくつか出てきました。どうやら金銭的不始末が露見するのを恐れて先手を打って辞めたと思われますが、既に支給した退職金を返還させても問題ありませんか。なお、規定では懲戒解雇の場合を除いて退職金を支給する定めになっています

    すでに退職した者を懲戒解雇とし、支払った退職金を返還させるのは困難。なお、労働者の不正行為によって直接企業が損害を受けたのであれば、その範囲で損害賠償請求を行うことは可能

    すでに退職した者を懲戒解雇とし、支払った退職金を返還させるのは困難と考えるべきでしょう。退職したということは、すでに労働契約も切れており、従業員としての地位もないわけですから、就業規則を適用して懲戒権を発動する余地はないからです。
    また、退職金も賃金である以上、いったん労働者の手に渡ったものを返還させるには、計算誤りとか、労働者に不正受給の意図があった場合に限られます。

    不正が露見していれば、確かに懲戒解雇となって退職金も支払わずに済んだかもしれませんが、現実には露見しなかったのですから、懲戒解雇以外は退職金を支払うとする就業規則にある規定を適用せざるを得ないわけです。

    なお、労働者の不正行為によって直接企業が損害を受けたのであれば、その範囲で損害賠償請求を行うことはもとより可能です。

    向田社会保険労務士事務所