労働時間の考え方
固定残業代について
よく、経営者の皆様から「労働時間の把握は困難である」という言葉を耳にします。
営業等は日中仕事をしているのか分からない。
夜も携帯の電話による報告だけでは、実際に何時に帰っているか分からない。
などの相談を受けます。
床屋さんのお話ですが、昔は営業の方が休みが取れないので平日に床屋に来ていた。
しかし、近年は、そういう方が少なくなってきた。
というお話をしてくれました。
さて、使用者には「労働時間を適正に把握する責務」があります。
一般的には、使用者は、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等から労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること。
やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合には、労働者や労働時間を管理する者に対して適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと。
また、時間外の結果とし「て36協定の上限を超えても、36協定の上限とする。」などの適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。
などがあります。
最近、危惧すのが事務の負担を減らすため残業時間を把握せず「固定残業代(みなし残業代)」として支給することである。
固定残業代は、基本給または手当(営業手当)に「○時間分、○万円」として支給します。
しかし、残業代といってもその中身は時間外労働割増賃金、休日労働割増賃金、深夜労働割増賃金とさまざま。つまり、残業した日、時間、時間帯により、支払われるべき割増賃金の種類が異なり、それぞれ所定の割増率で計算します。
それぞれの割増賃金を計算した上で、これが固定残業代の金額に収まっているかを確認することが重要です。
もし、固定残業時間を超える時間外労働があった場合には別途割増賃金を支払う必要があります。
会社が設定していた固定残業代が法的に認められずに、後から「無効」とされた場合。固定残業代(として支給していた部分)は残業代とはみなされず、(残業代は未払として)会社には別途で残業代の支払い義務が発生します。
固定残業代が法的に認められるためには、
①定額残業代が、他の賃金(基本給や手当)と明確に区別されていること
②定額残業代の金額及び、何時間分の割増賃金を含むかを明示すること
③時間外労働割増賃金の額が、定額残業代を上回った場合には「差額を支給する」こと
以上は就業規則を作成する際にも肝要です。