通勤災害の落とし穴
- 中小事業主労災保険脱退、その他
従業員の自宅と自社との間における通勤災害には注意
建設事業を営む会社の中には、うちの会社は「元請工事がないので工事現場の労災保険に加入していない」という会話を耳に挟むことがあります。
確かに、下請工事ばかりですと工事現場で被災した場合は「元請の労災保険」を使えばよいと思います。
しかし、通勤災害は少し複雑になります。
(1)自宅から工事現場に直行する途中の事故、または、工事現場から自宅へ直帰する途中の事故
→元請の通勤災害(現場労災)
(2)自宅から自社に集合するために通勤する途中の事故、または、工事現場から自社に集合してから自宅に帰る途中の事故
→自社の通勤災害(現場労災)
(3)自社から工事現場に行く途中の事故、または、工事現場から自社に戻る途中の事故
→元請の業務災害(現場労災)
このように考えると、(2)のケースが生じた場合に自社で工事現場の労災保険に加入していなければ従業員に対して労災保険から補償(通勤災害)が受けられなくなります。
したがって、元請工事を行うことがない建設事業を営む会社でも工事現場の労災保険に加入する必要性を認識しなければなりません。
その場合の労災保険料としての概算保険料の根拠になる保険料額は、
(1)土場(作業置き場)等があればそこで働く労務費
(2)(1)がなければとりあえず小額の保険料額
実は、このあたりの明確な算出方法が確立されていないと認識しています。
詳しくは所轄の労働基準監督署にお尋ねください。