一人親方等の死亡災害発生状況
厚生労働省が調べたところ、一人親方等の死亡者数は、労働災害による死亡者数(年間数百人)の約三分の一に相当する数となっています。
建設業などの一定の業種の中小事業主や一人親方などは、自ら希望すれば、業務災害等の補償を受けられる労災保険に特別加入することができることになっています(労働者災害補償保険法施行規則46条の17)。
建設業における災害発生の課題
① 死亡災害の発生状況
一人親方等の死亡災害においては、墜落・転落災害の占める割合が約60%を占めることから高所における災害防止が最大の課題となっています。
② 新規入場時の災害
建設現場では、新たに入場した作業員が災害を起こす確率が高く、特に入場してから一週間までの被災率が高いことが課題となっています。
一人親方等の場合も全く同様で、数日間は現場の状況が十分把握できないこと
に加え作業所のルール等に不慣れなため、戸惑いを覚えながら作業を進めている
ことにより被災率が高くなっている可能性が考えられます。
災害発生原因の4つの要素
作業中に発生する災害の背景の要素を4つに分けて考える手法が4M(Man、Machine、Media、Management)と呼ばれる手法です。
安全衛生管理活動の欠陥として
≪人間的要因(Man)≫
① 心理的要因:場面行動(他の事柄に気付かず、前後に見境もないまま行動する)、忘却(ど忘れ)、考え事(家族問題、借金等)、無意識行動、危険感覚のずれ、省略行為、憶測判断、ヒューマンエラー
② 生理的要因:疲労、睡眠不足、アルコール、疾病、加齢
③ 職場的要因:人間関係、リーダーシップ、チームワーク、コミュニケーション など
≪設備的要因(Machine)≫
① 機械設備の設計上の欠陥
② 危険防護不良
③ 人間工学的配慮不足
④ 標準化不足
⑤ 点検整備不良 など
≪作業的要因(Media)≫
① 作業情報の不適切
② 作業姿勢、作業動作の欠陥
③ 作業方法の不適切
④ 作業空間の不良
⑤ 作業環境条件の不良 など
≪管理的要因(Management)≫
① 管理組織の欠陥
② 規程・マニュアル不備
③ 教育訓練不足
④ 部下に対する監督・指導不足
⑤ 適正配置不十分
⑥ 健康管理不足 など
以上の不安全状態および人の不安全行動が事故・災害を引き起こします。