未払賃金が請求できる期間などが延長
労働基準法の一部改正
全ての労働者に対し2020年4月1日以降に支払われる賃金から適用されます。
1 賃金請求権の消滅時効期間の延長
賃金請求権の消滅時効期間を5年(これまでは2年)に延長しつつ、当分の間はその期間が3年となります。
時効期間延長の対象となるもの
金品の返還(労基法23条、賃金の請求に限る)
賃金の支払(労基法24条) 非常時払(労基法25条)
休業手当(労基法26条) 出来高払制の保障給(労基法27条)
時間外・休日労働等に対する割増賃金(労基法37条)
年次有給休暇中の賃金(労基法39条9項) 未成年者の賃金(労基法59条)
2 賃金台帳などの記録の保存期間の延長
賃金台帳などの記録の保存期間を5年に延長しつつ、当分の間はその期間が3年になります。
保存期間延長の対象となるもの
① 労働者名簿
② 賃金台帳
③ 雇入れに関する書類・・・雇入決定関係書類、契約書、労働条件通知書、履歴書など
④ 解雇に関する書類・・・解雇決定関係書類、予告手当または退職手当の領収書など
⑤ 災害補償に関する書類・・・診断書、補償の支払、領収関係書類など
⑥ 賃金に関する書類・・・賃金決定関係書類、昇給減給関係書類など
⑦ その他の労働関係に関する重要な書類
・・・出勤簿、タイムカードなどの記録、労使協定の協定書、各種許認可書、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類、退職関係書類など
⑧ 労働基準法施行規則・労働時間等設定改善法施行規則で保存期間が定められている記録
(※起算日の明確化を行う記録は、このうち賃金の支払いに係るものに限ります。)
3 付加金の請求期間の延長
付加金を請求できる期間を5年(これまでは2年)に延長しつつ、当分の間はその期間が3年となります。
※退職金請求権(現行5年)などの消滅時効期間に変更はありません。
付加金制度の対象となるもの
解雇予告手当(労基法20条1項) 休業手当(労基法26条)割増賃金(労基法37条) 年次有給休暇中の賃金(労基法39条9項)
※付加金とは、裁判所が、労働者の請求により、事業主に対して未払賃金に加えて支払を命じることができるもの